薬局やカフェの開業祝いに花を贈りたいけれど、「花粉で汚したら迷惑かも」「香りが強すぎないかな」と迷っていませんか。
こんにちは、花農家の娘の佐藤萌です。
結論からいうと、迷ったら花粉が飛ばない胡蝶蘭か、花粉の出ない品種の花を選べば大きく外しません。
この記事では、花粉や香りが控えめな花と気をつけたい花、贈り先ごとの選び方、お花屋さんへの伝え方までお話しします。

贈り先で花粉と香りに気をつけたい理由

花を贈るとき、色や花言葉には気を配っても、花粉や香りまで考える方は意外と少ないんです。
でも、贈った先で困らせてしまう原因は、じつはこの2つであることが多いんですよ。

花粉は服やお店のものを汚し、なかなか落ちない

実家の出荷作業を手伝っていると、作業着のあちこちに黄色やオレンジ色の粉がついているのはいつものことです。
畑やハウスなら気にならなくても、お店や職場ではそうもいきません。

花粉の困ったところは、一度しみになると落ちにくいことです。
日比谷花壇の解説でも、服についたユリの花粉を水で洗おうとすると、かえって繊維の奥に入り込んで取れにくくなると紹介されています。
白衣やコックコート、白いテーブルクロスを使うお店に花粉の多い花を贈ると、スタッフの方が毎日気をつかうことになってしまいます。

香りの感じ方は人それぞれ

いい香りの花は、自分の部屋に飾るならうれしいものですよね。
ただ、同じ香りでも、心地よいと感じる人もいれば、頭が痛くなる人もいます。

とくに気をつけたいのが、体調のすぐれない人が訪れる場所と、料理の香りを大切にしているお店です。
贈った側は「華やかでいいな」と思っていても、相手の立場では飾る場所に困る花になってしまうこともあります。

花粉や香りが控えめで贈りやすい花

では、どんな花なら安心して贈れるのでしょうか。
花農家の目線で、選びやすい花を紹介します。

胡蝶蘭は花粉が塊になっていて飛び散らない

お祝いの定番の胡蝶蘭は、花粉の心配がほとんどない花です。
ランの仲間は、花粉がくっつき合ってひとつの塊(花粉塊)になっているのが普通だと、日本大百科全書のラン科の項目にも書かれています。
粉として舞うのではなく、花の中心にある「ずい柱」の先に小さな粒として収まっているので、飾っているだけで花粉が落ちてくることはまずありません。

香りについても、ギフトで出回る大輪の白やピンクの胡蝶蘭は、顔を近づけてもほとんど感じないくらい控えめです。
品種によってはほんのり香るものもありますが、部屋に香りが広がるほどではありません。
ひとつだけ、花の中心の花粉塊は指で触って取らないようにしてください。
取れてしまうと、その花が早くしおれることがあります。

切り花用のひまわりには花粉の出ない品種がある

夏の開店祝いに人気のひまわりは、もともと花粉がとても多い花です。
種苗会社のタキイ種苗によると、ひまわりは通常大量の花粉を出すので、切り花にするとテーブルや衣服を汚してしまうそうです。
そこで花粉の出ない性質を取り入れて、1991年に発表されたのが切り花用ひまわり「サンリッチ」のシリーズです。

今お花屋さんで見かける切り花用のひまわりは、こうした花粉の出ない品種がとても多くなっています。
とはいえ、すべてがそうとは限りません。
お店や飲食店に贈るときは、注文の際に「花粉の出ない品種ですか」と一言聞いておくと安心ですよ。

ガーベラやアンスリウムも香りが目立たない

ガーベラは、香りがほとんどなく、花粉も飛び散りにくい花です。
色の種類が多いので、明るい雰囲気のカフェや美容室へのお祝いにも合わせやすいですね。

アンスリウムは、赤やピンクのつやつやした部分が花のように見えますが、じつは仏炎苞(ぶつえんほう)という葉が変化したものです。
香りもほとんどなく、切り花としても花もちがよいので、お店のカウンターにすっきり飾れます。

花花粉香り向いている贈り先
胡蝶蘭塊になっていて飛ばないほとんどない薬局・クリニック・飲食店・会社
切り花用ひまわり(無花粉品種)出ない品種が多いほとんどない夏の開店祝い全般
ガーベラ飛び散りにくいほとんどないカフェ・美容室・お見舞い
アンスリウム目立たないほとんどない飲食店・オフィスのカウンター

贈る前に知っておきたい、花粉や香りが強い花

反対に、花としては魅力的でも、贈り先によっては避けたほうがいい花もあります。
自宅用ならまったく問題ない花ばかりなので、「使い分け」と考えてくださいね。

ユリは香りも花粉もしっかりある

カサブランカなどのオリエンタル系のユリは、華やかで存在感のある花です。
そのぶん香りが強く、雄しべの先の葯(やく)からは濃い色の花粉がたっぷり出ます。
香りが控えめなLAユリという系統もありますが、花粉が出る点は同じです。

ユリを自宅で飾るなら、つぼみが開いたらすぐ、葯が割れて花粉が出る前にティッシュでつまんで取ってしまうのが花農家流です。
もし服についてしまったら、水で濡らさずに乾いた状態のままティッシュや柔らかいブラシで払い、粘着テープで軽く取ってください。
ただ、贈った先で毎日葯を取ってもらうのは負担になるので、お店への贈り物にはあまり向きません。

フリージアやストックなど香りの強い春の花

春の花には、香りの強いものがたくさんあります。
次の花は、閉じた空間に飾ると香りがこもりやすいので、贈り先を選びます。

  • フリージア
  • ストック
  • スイートピー
  • ヒヤシンス

どれも春らしくてかわいい花なので、香りを楽しめる相手には喜ばれます。
私も春になると、自分の部屋にはフリージアをよく飾っています。
贈り先が飲食店や医療の場なら、ほかの花を選ぶか、香りの控えめな花と組み合わせて本数を少なめにしてもらうといいですよ。

贈り先別の選び方

ここまでの内容をふまえて、贈り先ごとの選び方をまとめます。
どの場合も、先方のルールや飾るスペースを確認できると、なお安心です。

薬局・クリニックの開業祝い

調剤薬局やクリニックは、体調のすぐれない方が訪れる場所です。
香りの強い花は避け、花粉がカウンターや薬袋を汚さないものを選ぶのが相手への気づかいになります。
いちばん選びやすいのは、花粉が飛ばず香りも控えめな胡蝶蘭です。

薬局の場合は、待合がこぢんまりしたお店も多いので、大きさ選びも大切です。
法人からなら大輪の3本立ち、薬剤師仲間や友人からならカウンターに置けるミディ胡蝶蘭、というように関係性とお店の広さで考えます。
予算の相場や届けるタイミング、立札の書き方まで知りたい方は、薬局・ドラッグストアの開局祝いの選び方と贈り方マナーがとても参考になります。
調剤を行う薬局の立札は「祝 御開店」より「祝 御開局」がふさわしいことや、開局の前日に届くよう手配するとよいことなど、薬局ならではの決まりごとも丁寧に解説されています。
手配の前に目を通しておくと、花選び以外のところで慌てずにすみますよ。

飲食店・カフェの開店祝い

飲食店では、料理やコーヒーの香りを邪魔しないことがいちばんです。
香りの強い花はもちろん、花粉がテーブルや料理に落ちる心配のある花も避けましょう。

胡蝶蘭のほか、無花粉のひまわりやガーベラ、アンスリウムのアレンジメントなら、お店の雰囲気に合わせて選べます。
カウンター席中心の小さなお店なら、大きなスタンド花より卓上サイズのほうが置き場所に困りません。

入院中のお見舞いは病院のルールを先に確認

お見舞いの花は、まず病院のルールを確認するところから始めてください。
たとえば静岡県立静岡がんセンターでは、感染管理上の理由から、一部の病棟ではすべての植物の持ち込みを禁止しています。
それ以外の病棟でも、持ち込めるのは切り花だけで、花瓶の水を毎日替えることや、花瓶はプラスチック製に限ることなどが条件になっています。

こうした決まりは病院ごとに違います。
持ち込みが許されている場合でも、相部屋のことを考えて、香りの控えめなガーベラなどを小さめにまとめてもらうのがおすすめです。
鉢植えは「根付く」が「寝付く」を連想させるため、お見舞いには向かないとされているので気をつけてくださいね。

お花屋さんに注文するときの伝え方

花の種類を自分で決めきれないときは、贈り先の業種と「花粉や香りを控えめにしたい」という希望を、そのままお花屋さんに伝えるのがいちばん確実です。
お花屋さんは季節ごとの入荷状況を知っているので、その時期に手に入る花粉の少ない花で組み立ててくれます。
毎日いろいろな贈り先の花を組んでいるプロなので、こうした相談には慣れています。
遠慮せず、具体的に伝えて大丈夫ですよ。

電話やネット注文の備考欄には、次のように書いておくと伝わりやすいです。

調剤薬局の開局祝いです。
待合のカウンターに置ける大きさで、花粉や香りの少ない花でお願いします。
ユリは入れないでください。

カフェの開店祝いです。
料理の香りを邪魔しないよう、香りの強い花は避けてください。
ひまわりを入れる場合は、花粉の出ない品種でお願いします。

入れてほしくない花をはっきり書いておくと、お花屋さん側も迷わずに済みます。
置き場所の広さや、お店の内装の色味がわかれば、それも添えておくと仕上がりのイメージがぐっと近づきます。

まとめ

花粉や香りへの気づかいは、贈った相手に「わかってくれているな」と感じてもらえるポイントです。
最後に、選び方のポイントを振り返ります。

  • 迷ったら、花粉が塊になっていて香りも控えめな胡蝶蘭を選ぶ
  • ひまわりは花粉の出ない品種か、注文時に確認する
  • ユリやフリージアなど香りや花粉の強い花は、自宅用やプライベートな贈り物で楽しむ
  • 薬局・クリニック・飲食店には、香りと花粉の少ない花を置き場所に合ったサイズで贈る
  • お見舞いは、病院のルールを確認してから選ぶ

花農家の娘としては、どの花にもそれぞれのよさがあると思っています。
香りの強い花も花粉の多い花も、飾る場所さえ合っていれば主役になれる花たちです。
贈る相手の毎日を少し想像して選んだ花は、きっと長く大切にしてもらえますよ。